山廬の裏を流れる狐川。夏至が近づいた6月中旬。少し蒸し暑さが残る夕闇の中をかすかな光が流れる。ゲンジボタルの淡い光だ。昭和40年頃まで境川のいたるところで蛍が乱舞した。しかし養蚕業から果樹に変わって消毒の影響だろうか、その数がめっきり減ってしまい、全く見れない年が何年も続いた。
十年ほど前、狐川で蛍が確認できた。毎年数を増し、いつしか以前と変わらないほどになった。農薬の改良と下水道の整備が功を奏したようだ。
蛍の飛翔は決まって午後7時45分である。笹の葉や葦に潜んでいた蛍が一斉に舞い上がる。今年の蛍は例年より力強い気がする。自然に増殖したゲンジボタルを守るため時折河川のゴミを拾ったり、繁茂しすぎた葦を刈ったりしている。
来年も楽しませてくれることを期待して。
文/写真 飯田秀實
狐川のゲンジボタル
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